
整形外科で扱う疾患は多岐にわたり、「関節症」「腰痛」「骨粗しょう症」などが代表的です。特に多いのが、加齢に伴う変形性膝関節症や変形性股関節症で、関節の軟骨がすり減ることで痛みや機能障害が生じます。また、日常生活での不適切な姿勢や運動不足による腰痛や肩こりも一般的です。スポーツ活動に関連する靭帯損傷や腱鞘炎、骨折なども整形外科の重要な診療対象となっています。さらに、近年増加している骨粗しょう症は、骨密度の低下により骨折のリスクが高まる深刻な疾患です。
【具体例】
65歳女性の膝関節痛の症例:階段の上り下りや長時間の歩行で痛みが出現。レントゲン検査で変形性膝関節症と診断され、運動療法と投薬治療を開始。3ヶ月後には症状が改善し、日常生活動作が楽になった。
2. 整形外科での検査・治療方法について
整形外科では、症状や疾患の状態を正確に把握するために、様々な検査方法を用います。基本的な画像検査としてX線撮影があり、より詳細な観察にはMRIやCTスキャンを活用します。また、骨密度測定や関節可動域検査、筋力測定なども重要な検査項目です。治療においては、投薬治療や理学療法、装具療法などの保存療法を優先的に行い、必要に応じて手術療法を検討します。近年では、関節鏡手術やロボット支援手術など、低侵襲な手術方法も増えており、患者の回復期間の短縮にも貢献しています。
【具体例】
40歳男性の腰椎椎間板ヘルニアの症例:MRI検査で病変を特定し、まず6週間の保存療法(投薬・理学療法)を実施。症状が改善せず、マイクロ内視鏡下椎間板切除術を施行。術後3週間で職場復帰が可能となった。
3. 整形外科を受診する際の注意点と予防医学
整形外科を受診する際は、症状の正確な把握と適切な情報提供が重要です。痛みや違和感を感じ始めた時期、症状の変化、日常生活への影響などを具体的にメモしておくことで、より的確な診断につながります。また、予約制の医療機関が増えているため、事前に予約状況を確認することをお勧めします。さらに、予防医学の観点から、日常的な運動習慣の確立や正しい姿勢の維持が重要です。特に、デスクワークが多い現代社会では、定期的なストレッチや筋力トレーニングを取り入れることで、腰痛や肩こりなどの症状を予防できます。また、適切な靴選びや体重管理も、関節への負担を軽減する重要な要素となります。
具体例:
・症状メモの例:「先週木曜日から右膝に痛みがあり、階段の上り下りで特に痛む。安静時は痛みなし」
・予防運動の例:朝15分のストレッチ、昼休みの5分間の簡単な関節運動、夕方のウォーキング30分
整形外科の診療では、適切な診断と治療計画の立案が患者の回復に大きく影響します。急性の外傷から慢性的な痛みまで、幅広い症状に対応する整形外科医との良好なコミュニケーションが、治療の成功につながります。また、リハビリテーションの重要性も忘れてはいけません。医師の指導のもと、適切な運動療法や物理療法を継続することで、症状の改善と再発防止が期待できます。予防と早期発見・早期治療の意識を持ち、定期的な健康チェックと適度な運動を心がけることで、健康的な生活を維持することができます。日々の生活習慣の見直しと、必要に応じた専門医への相談を通じて、運動器の健康を守っていきましょう。